横浜市長 林 文子 殿

平成23年1月25日

 

特定非営利活動法人福祉オンブズパーソン・YokohamaNet

理事長 加 藤 正 治

 

要 望 書

 

第1 福祉オンブズパーソン活動について

 1 【要 旨】

 横浜市は、「横浜ふくしネットワーク」に加盟する福祉サービス事業者に対して、当法人が行う福祉オンブズパーソン活動への評価を明確に公表するとともに、福祉オンブズパーソン活動を導入していない福祉サービス事業者に対し、福祉オンブズパーソン活動の導入と活用を推進して下さい。

 2 【理 由】

(1)横浜市は、障害福祉については「横浜市障害者プラン(第2期)」(以下、「障害者プラン」という)に基づいて、障害者の自己選択と自己決定の実現を図る社会の構築を基本理念として、様々な施策・事業を推進されています。

 しかし、障がい者の自己選択と自己決定の実現というのは、容易に達成できるものではありません。

措置制度時代から長期に施設入所されている方の中には、自己選択する機会を与えられなかったために、自身で選んで決定することが出来ない方や、もともと持っている力が低下している方も多くいらっしゃいます。

 また、障がいのある人が地域生活で直面する困難を解消するためには、専門的な支援の担い手を育てることが必須ですが、その際には、権利擁護の習得はもちろんのこと、日々の現場における実践活動を通じて、個別の状況に適した支援の専門性、気づきが深化していくことが必要です。

 こうしたことについて、制度の面においてもサポートされていく必要があり、そうでなければ、障がい者から発信する自己選択と自己決定の実現は図れません。

(2) 横浜市は、知的障がい者に対しては、独自事業として平成13年度から障害者自立生活アシスタント派遣事業を開始されているところでありますが、障害者プランで、『アシスタントによる支援の特徴として、日常生活全般にわたる助言が挙げられるが、助言を助言として受け止めてもらえるようになるまでには、長い時間と信頼関係が必要』と認識され、『訪問や面接を積み重ねながら、今までどのように暮らしてきたのか、これからどのように暮らしていきたいのかを聞き取りながら関係を築き、このような関わりを通して、日常生活上の課題に対する本人の気づきを誘い、「身近な存在」として課題の解決に向けた支援を行う』と表明され施策を展開されています。

入所施設を利用する知的障がい者の地域移行を促進するためには、地域での生活を送る前から信頼関係構築のために、自立アシスタントや利用施設職員以外の関わりを持つことも必要ではないかと思慮されます。

また、横浜市が全国に誇れるグループホーム・ケアホームを多数設置してきたことは、地域生活移行という点ではたいへん評価できるのですが、入所施設より小規模小集団であることが、結果としてより密室化し利用者が声を上げにくい構造になってしまっていることを憂慮しています。

月に1回定期的に訪問している福祉オンブズパーソン活動において、様々な要望や苦情等の声を拾ってきましたが、利用者の思いや願い・不満は多岐にわたっております。

苦情の申出に関しては、現在「第三者委員」や「モニター制度」等がありますが、実際上は第三者委員等に定期的な訪問活動を期待することは困難であります。

また第三者委員による判断が合議制によるものではないことなど、判断過程においても十分な審議を期待することや、独立性を維持することが困難な場合もあるものと思料されます。苦情は施設を利用する利用者の立場を十分に配慮することが必要ですが、その際聴取者の独立性・公平性が保たれていることは必須です。

また一般に苦情解決制度の存在は、障がいのある人の人権や権利を担保するためにその役割を果たしていますが、利用者等からの「苦情」が申告されることが前提となっていることから、入所施設やグループホーム・ケアホームを利用している知的障がいのある利用者等が本来的には有している「苦情」を掘り起こすことには困難があります。

 さらに、「苦情」と「要望」を厳密に区別して整理することが難しいことなども経験しています。

  「苦情」を口頭で伝えられない利用者の権利の保障のためには、少なくとも、定期的な訪問活動が前提条件として必要であり、また「苦情」以外の様々な要望などについて、福祉オンブズパーソン活動の日常的な訪問による方が適していると考えられます。

要望は利用施設内に留まる要望もあれば、施設外へのアプローチが必要な要望もあり、施設内の苦情解決委員だけでは利用者の真の願いに寄り添えないことを実感してきました。

 福祉オンブズパーソン活動では、NPO法人化の道を選び、その独立性をより保てるよう努めています。そのような制度的な支えは、対等性を維持することに役立ちます。

 このように、各制度にはそれぞれの利点や、そうでない点などがありますが、それぞれが、その利点を生かしながら重畳的に存在し、ゆるやかに有機的に関連していることによって、権利保障の制度が張り巡らされ、充実するものと実感しています。

 また、有機的に関連する意味のひとつには、利用者の方にとって、どの窓口に相談に行けば良いかわかないことなどの不便がないように設計されていることも必要です。

     (3)「福祉オンブズパーソン活動」紹介

 福祉サービス利用者の身近にいて、困っていることなど様々な申し出を受け入れて代弁するシステム、障害者の自己選択と自己決定の実現を図るための1つの試みとして、「湘南ふくしネットワーク」に続いて、横浜市内においても、1999年に横浜ふくしネットワーク(以下、通称名、「Yネット」と言います。)が設立されました。横浜市内における権利擁護活動の一環として、Yネットに加盟する福祉サービス事業者に、市民による福祉オンブズパーソン活動が導入されました。

 福祉オンブズパーソン活動では、次のような利点があります。

@毎月定期的に福祉サービスを訪問することで、直接利用者の声に耳を傾 けられる

A利用者に顔の見える存在として、タイムリーな活動を期待できる

B利用者の声なき声を代弁できる

C保護者会への参加など柔軟な活動が期待できる

DオンブズパーソンはNPO法人化されており、毎月開催される委員会で、 オンブズパーソンの意見に多様な観点が反映され、また独立性が保たれ る

E一般市民感覚で利用者の暮らしぶりをチェックし改善を意見具申できる ので、ノーマライゼーションの実現に近づけられる

F閉鎖的になりがちな入所施設等にも、第三者の眼が入る事によって、利 用者の声を生かして、事業者の提供する福祉サービスの活性化につながる

Gネットワークを構築する事で、福祉サービス事業者相互の情報共有が 図れ、サービスや権利擁護意識の底上げが図れる

(4)立ち上げから今日までの10年余の間(2007年Yネットより独立し当法人を設立)、Yネットに加盟する福祉サービス事業者が提供する福祉サービスの利用者の権利擁護活動を展開してきました。

 神奈川県下には、高齢者や障がいのある人のための、さまざまな福祉オンブズパーソン制度が存在していますが、福祉サービス事業者による、福祉オンブズパーソン制度の導入については、未だ推進が図られていない現実があります。

 Yネットや当法人は様々な角度から、加盟施設が増加しない原因、福祉サービス事業者が、市民によるオンブズパーソン活動の導入を躊躇する原因を解明するため、Yネット全体で検討を重ねてきました。

 Yネットについて、当NPO法人のPRの不十分さは認識しているところではありますが、その原因の1つとして、横浜市立障害児者入所施設がYネットに加盟しているにもかかわらず、市行政における福祉オンブズパーソン活動に対する評価の位置づけが曖昧であることにも起因しているものとの認識を有するに至りました。

 そこで、民間団体との協働が真に実現することを祈念し、標記の要望をする次第であります。

 

第2 福祉オンブズパーソン活動を通して感じた課題及び問題点並びに

   改善へ向けての要望

 1 横浜市は、障害者プランの中で、『関係機関調整、規定等整備、事業実施準

備等その他地域生活のためのきめ細かな対応入所施設による地域生活支援機能強化、重複障害や医療的ケア対応、触法障害者など、支援の内容が多様化する中で、安定した地域生活を実現するために果たす入所施設の今後の役割について、プロジェクトチームにより具体策を検討し、支援体制や職員の支援技術の充実を図る』と表明されているところですが、これまでの福祉オンブズパーソン活動を通して感じた現状の課題・制度上の問題点をお示しするとともに、改善へ向けての要望をいたします。

(1) 福祉サービス事業者全般において

   @  支援面における質の格差

  福祉サービス事業者毎に支援内容は異なりますが、支援面において質の格 差があると認識いたしております。

  福祉サービス事業者によっては、障害者自立支援法の施行にともない運営予算が切迫したことにより、正職員を減少させ非常勤職員によってその運営を維持することなどの経営上の対応がなされていますが、中には配置職員の削減を余儀なくされ、法に定められた職員定数を満たせていない施設などがあるなど、日中生活介護支援の質の低下を招いています。

 これらは看過できない事態と言わざるを得ません。

  昨今、自立支援法の改正が議論されているところでありますが、まずは、職員定数を満たしていない施設に対する指導はもとより、非常勤職員への研修及び養成プログラムを施策上具体的に明らかにし、配置職員に関しても、利用者がその人らしく過ごせる適正な人員配置を確保するための仕組みを早急に策定する必要があると思料いたします。

 A 施設間職員研修の推進

  Yネット加盟施設間で実行している「施設間職員研修」は、ともすれば自己満足に陥りがちの自施設の支援を見直すのに、絶好の機会になっていると考えます。

  例えば施錠の問題についても、すべての施錠が解放されている施設もあれば、すべて施錠管理されている施設もあり、各施設の支援者は自施設の取り組みが当たり前と錯覚している現状です。

 他施設の現状を実際に知ることが、自施設の支援を再度検証する機会となっています。

 B 第三者評価の推進

職員の人材確保と質の向上にあたっては、研修のみではなく現場での支援内容に対する具体的な評価を受けることが必要です。

  未だ第三者評価機関の利用する施設は少なく、福祉オンブズパーソンを利用している施設等も僅かであり、理想と現実とが乖離しています。

  第三者評価の活用が促進され、利用者にとっての有意義な機能を実効性あるものするための施策を展開されることを要望します。

 C 外出支援

  現在、入所施設で暮らす利用者から、外出に関する要望が多く寄せられています。障害者プランでは、『総合的な移動支援施策体系の再構築をする』と表明されていますが、入所施設の利用者は制度上、外部ガイドヘルパーが利用できない状態です。利用者が望めば外出しやすくなるよう施策の検討を要望します。

 D 余暇の活用

  入所施設で暮らす利用者からは、余暇の過ごし方に関する要望が多く寄せられています。また、日中、重度の利用者への働きかけがなく、複数の利用者が長時間フロア等に座っている、といった状況があることなどにも遭遇することがありました。

  入所施設における利用者がおかれている生活状況、日中活動の状況や意向などにつきましては、正確な実態の把握に努めると共に、改善すべき点があるとすれば、その調査結果を踏まえていかなる施策を講ずることが適当なのか、第三者を交えてその方向性を探ることなど、利用者のおかれている不利益の解消のための具体的な実践を要望します。

 

 E ケースワーカー

入所施設の利用者への個別支援は、サービスの提供については、当該入所施設が主体となるのは当然であると言えますが、中には支援の方向性については、福祉サービス事業者と利用者の保護者との意見が対立する場合もあります。

施設等への入所後についても、区のケースワーカーの継続的な関わりや調整がないと改善が図りにくい場面も多くありますので、施設入所後のケースワーカーによる関わり方に関する位置づけを、明確にして頂きたく要望します。

  F 職業成年後見人の大幅な起用

 障害者プランの中で、『障害者の高齢化・重度化への対応として、生涯にわたる見守りや生活支援を行う法人等の運営支援等、見守りや日常生活の支援などを含めた対応、法人等によるチームとしての後見手法の検討、費用負担に対する助成のあり方などを検討し、施策を進め、また、家族に対する支援や家族のいる間からの早期対応の手法についても、早期の事業化に向けて検討します』と表明されました。

  成年後見制度の活用について、市区町村申立や成年後見制度支援事業の一層の充実を図ること、また、不適正な後見のあり方を未然に防止するとともに、職業成年後見人、市民後見人の起用も含めた、施策の検討を要望致します。

 G 地域移行

  入所施設からグループホーム等への地域移行が進んでいますが、未だその道は不十分だと言わざるを得ません。依然として利用者の選択肢が乏しいこと、利用者に経済的に余力がないこと、地域住民との連携や関係性が希薄すぎてグループホームでの生活が、単に入所施設の延長上(ミニ施設化)になっているだけと感じられるケースがあることなど散見されます。

  障害者プランの中では、『地域生活に移行した後も安定して地域での生活を継続していくためには、地域移行に向けた働きかけやサービス基盤の整備を進めるだけではなく、一人ひとりの障害特性や意向を踏まえた総合的な支援の仕組みを構築するための取組をさらに進めていく必要があり、また、その仕組みを継続的なものにしていくためには、人材の確保と育成も緊急に取り組むべき課題となっている』と表明されています。

  事業者ごとの福祉サービスにおける質、職員の専門性のバラツキなどが解消できるような方針、例えば横浜市全体で「グループホームケアホーム職員研修」などの施策を充実して頂き、権利擁護や障がいのある人に対する尊重を失わないよう、気配りのある支援が可能となるよう専門支援スタッフ・スーパーバイザーの育成、利用者やご家族にとって安心して地域移行できるような取り組みを推進してください。 

  また、地域に移行した後も安定した生活が継続されるような施策、地域ごとの人材の確保を含めた総合支援の仕組みを早急に進めてください。

 H 市民への啓発

  横浜市は、障害者プランの中では、『市民への啓発に関して、特別支援学校の児童生徒が地域の小中学校に副学籍を置き、交流及び共同学習を推進する。副読本「みんな友だち」を活用しながら、小中学校において障害理解を推進する。当事者や市民団体による普及・啓発活動への支援をする』と表明されましたが、未だ改善されていません。

中には、単独で電車による通所をされていた利用者が、近隣住民から「危険人物」などのレッテルを貼られて、父兄の同行又は施設の送迎バスを迫られたとのケースがあります。市民への啓発にあたっては、相談支援従事者ばかりではなく、一般市民に対しても、知識(3障害の特性の理解、発達障害者等障害者手帳の対象にならない障害の理解、精神疾患の早期受診受療支援等)を伝え、理解してもらう施策の展開し、「横浜市は、障がい者を地域で受け入れる」との市民啓発をより一層強化されることを要望します。

 I 障がい者支援施設の整備等

 障害者プランの中では、『地域生活支援及び重度障害者支援の視点から障害者支援施設が担う役割・機能やあり方について検討し、それらを踏まえ老朽施設の再整備を進めるほか、医療的ケアを伴う介護度の高い身体障害者を主な対象とする施設整備も進める』と表明されましたが、施設に入所されている利用者の中には、建物の老朽化により耐震性に不安感じられている方や、高齢化により入浴等の支援を受けられない知的障害施設の利用者もいらっしゃいます。

  また、二人・四人部屋の入所施設では、未だ、個々の利用者のプライバシーは護られず、また自分に合った暮らしをする事ができにくい構造的な欠陥があり、利用者間のトラブルによって怪我をしたり、ストレスが問題行動へ発展していると考えられるケースが、多くの施設内で見受けられていています。

  これらの状況について、早期に改善のための施策を講じて頂けますよう要望します。

  (2) 障がい児童において 

      @ 学齢障がい児のその後

障害者プランの中では、ライフステージを踏まえたきめ細やかな施策を展開すると表明されています。また、障害児の生活支援施策の充実の項目におかれましては、『平成18年以降は、学齢障害児に対する放課後等の余暇支援、発達障害児等への対応に関する支援を目的とした地域療育センターによる学校支援にも取り組んできた』と表明されました。

児童施設において障がいの重度化や多様化のために、担当職員の配置が手厚くなり、身体機能面・発達障害や被虐待児対応など様々な支援がなされていることは評価できるのですが、卒業された障がい児童を受け入れた成人入所施設等では、制度上職員配置に限界があるため、途端に手薄な担当職員の配置状況となり、身体機能面や能力が徐々に低下している利用者が多く見受けられます。施策を展開するにあたっては、この現状を改善する何らかの検討を要望します。

 A いわゆる「過齢児」と言われている問題

  未だ、多くの成人された障がい者が児童施設に入所されています。入所中の成人障害者には、年齢相応の暮らしが確保されておらず、入所待機者の1つの原因となっていると思われます。

  また、成人が児童施設で生活をしていることで、児童との生活の調和を図ることが困難であり、児童の生活にも影響があります。早期改善を要望します。

  B 職員の人材確保と質

  障害者プランの中では、『被虐待児に見られるように近年の社会的養護を必要とする児童の増加の傾向は障害児においても同様であり、社会的養護体制の拡充が喫緊の課題となっている。現に昨今の入所児は家族関係に困難性を持つ軽度の障害児が多く、これまでの重度の障害児を中心とした支援体制では対応が難しいケースも見られる。このように何らかの支援を必要とする障害児数は増加し、求められる支援の内容も多様化しているが、市内施設が量的に不足しており、特に入所施設については市外・県外施設に入所せざるを得ない現状であることを明らかにされた上で、障害児施設における支援機能の強化・拡充の項目においては、被虐待児や発達障害児、重複障害児への支援等障害児施設に求められる新たな機能及び支援体制を検討し、再整備等による既存施設の機能強化と適正な施設定員の確保に取り組む』と表明されました。

ご指摘のとおり、市内施設が量的に不足しており、現在の障がい児入所施設には、家族が死亡等で養育的配慮を目的とした児童、家族のレスパイトを目的とした児童、家族の緊急一時を目的とした児童、本人の問題行動による家族の負担軽減と合わせ、本人の問題点を改善するために支援を必要としている児童、被虐待児や発達障がい児、重複障がい児等目的や支援のあり方が異なる児童が、同一空間で生活しています。

 そのため、本来の個々の児童への支援が難しく、障がい児間のトラブルや職員に求められる専門性の不足による支援によって、さらに問題が複雑、深刻化するケースも見受けられます。また、入所児童の年齢差は、体力や成長度合いを含めて差が大き過ぎます。

再整備等による既存施設の機能強化と適正な施設定員の確保に取り組む際には、上記実態に十分ご配慮してくださるよう要望します。

 C 在宅障がい児に対する送迎支援

  「将来にわたるあんしん施策」で、学校生活支援員を無くしガイドボランティアに移行することになりました。

  保護者が病気等で学校に送迎できない場合、義務教育を受ける権利のある児童が学校に行けない状況が起こっています。

  今までも教育保障の充実を障害者団体等が求めてきましたが、今回学校に行くための支援は、教育ではなく福祉が担うことが明確になりました。

 しかし、ガイドボランティアはあくまでボランティアであり、質量ともに対象になる児童すべてに対応できる人材を担保出来ていません。

  また、ボランティアであることから、ボランティア料としてわずかな金額が支払われるのみであり、今後人材を増やし育成していくことが難しいと思われます。

  すべての児童に教育が保障されるよう、学校の送迎問題を再考願います。

 D 在宅障がい児の母子(父子)家庭支援

「将来にわたるあんしん施策」で放課後等の居場所事業の拡充や余暇支援対策が展開されたことは、より豊かな充実した地域生活が推進できると評価します。

しかし、母子(父子)家庭で母親(父親)が働かなければ生活が成り立たない家庭を支援するほどの充実には至っていません。

幼児期には何とか保育園に通えていた児童が、学齢期になると放課後学童や居場所事業では必要日数利用できない状況があり、送迎の保証もないために働けずに、最終的には生活保護へ移行、または入所施設に入所というケースもあります。

母子()でも自立して安心・安定した地域生活ができるよう、必要な対策を講じてください。

     (3) 通所施設・作業所・就労センターにおいて

     @ 就労支援・中小企業への働きかけ

 障害者プランの中では、『福祉的就労については、障害者施設・作業所等の工賃アップに向けて、企業、経済団体等とともに、発注促進や自主製品売上増のための仕組みづくりを行う』とされ、『今後の考え方として、雇用の場を拡大するために、市内企業の99%を占める中小企業への働きかけをより一層強化する。景気の変動に左右されない安定した雇用が増えるよう、ノーマライゼーションを実践する企業の事例収集及び情報発信や労働・雇用施策との連携強化によるきめ細かい企業支援を進める。増え続ける定着支援へのニーズに対応するため、就労支援センターの体制強化を図るとともに、地域生活を支援する拠点施設等と連携しながら、余暇支援を含めた就労者の生活支援に取組む。また、就労支援センターや関係機関を対象に、就労支援に携わる人材の育成を図る。さらに、精神障害、発達障害、高次脳機能障害の就労支援については、各種事業等を検証しながら支援手法を検討・構築する。推進する主な施策・事業として、障害者雇用におけるノーマライゼーションの実現に向けた取組を実践している企業を表彰し、その優れた雇用事例の情報を発信するとともに、本市の関係部署と連携しながら、企業の障害者雇用の動機付けとなる報奨的な仕組みを検討する。特に中小企業に対しては、職場内指導者育成や、経営者の集う団体への働きかけを中心に、障害者雇用に踏み出せるような支援を関係機関とともに行い、また、市有財産の活用を含めた障害者多数雇用事業所の市内誘致を進めることにより、雇用の場の一層の拡大を図る』と表明されています。

 地域における生活の幅、機会が広がるとともに、経済的にも充足されるような施策を推進して下さい。

      具体的には、

@)市内の中小企業への働きかけを早急により一層強化すると共に、雇用側に対しては、障がい特性(精神障がい、発達障がい、高次脳機能障がい)の知識を提供し、十分な理解とスキルを求める支援プログラムを構築されるよう要望します。また、雇用主のみならず、就労の現場において、従業員による権利侵害等が行われることのないよう、権利擁護に関する十分な研修が行われるような継続的取り組み・評価の仕組みの構築を要望します。

 A)自立支援法により就労支援(継続)へ移行した事業所は、未だ手探りで支援を行っている現状があるため、雇用者側への働きかけと共に、就労に至るまでのプロセスを支援する事業所の専門性を高める指導やプログラムを提供してください。

   A 横浜市行政の中での障がい者支援

現在、横浜市が発注する事業として、各部署に発注先リストがあり、その中に障がい者が就労する事業所も含まれていると聞き及んでいますが、障がい者が就労する事業所への発注率が公表されていません。

また市が行っている職員採用において、障害者の採用率は、目標3%と聞き及ぶんでいますが、その具体的成果も公表されていません。

横浜市は、民間の事業所に対し働きかけを強化するだけではなく、それと同時に、または先行して、市行政の中において、障がい者が就労する事業所へ発注する事業の増加させる努力をするとともに、市の職員として障がい者の採用を増加させる努力をすべきであり、その成果を公表することで市が障がい者雇用者の手本となるべきであると思料いたします。

 

 2 添付書類

・横浜ふくしネットワークの紹介パンフ

・横浜ふくしネットワーク平成21年度活動報告書

・施設間職員交流研修会報告書

・特定非営利活動法人福祉オンブズパーソン・YokohamaNet

 紹介パンフ〜「オンブズパーソン」って知っている?〜

・特定非営利活動法人福祉オンブズパーソン・YokohamaNet

 メンバーリスト

・ゆめはま2010年プラン5カ年計画素案に対する提言書

以 上